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我がフライ人生の履歴 ②


トレーラーを付けたウェットフライが雑誌に取り上げられた時期があった。

ちょっと支笏湖の釣りに飽きた釣師郎は、もともとウェットフライが好きだったし、相変わらずチョー苦手な川のFFを練習しようと、ある時千歳川に向かった。

新しいメソッドだったこのウェットフライのFFは、3本のウェットフライを枝に付けた仕掛けをキャストするものだった。 枝鈎なのでナローループでキャストするとすぐに自爆するため、スローなロッドで手首を大きく使いながら、ワイドループーにコントロールすることが肝心だった。

膝下の千歳川はそれでも結構流れが速くて、ダウンストリームでも十分に仕掛けが沈まず話にならなかった。 そんなこんなで川の中で試行錯誤していた釣師郎に、土手から声を掛けてきた男の人がいた。 見れば営業車が停まっていたので、外回りの途中の営業マンだろう。

その営業マンは自分もフライマンだと名乗り、ちょっと投げさせてくれと頼まれたのでタックルを貸してやった。 そのキャスティングを見ていて思ったのだが、まったく釣師郎と違うスタイルの投げ方だった。 それは今でもよく見かける典型的な我流スタイルてやつだった。 20メートルぐらい飛ばせるので、狭い川の釣り場での支障は感じないのかも知れないが、やっぱおかしいと思った。

中途半端なダブルフォールはまだいいにしても、ロッドを斜め45度に振りフライラインの動きにあわせて前見て後見てのギッコンバッタンのキャスティングだった。 こんなただっ広いところで後なんて見る必要ないだろう。 頭を前後に大きく振りかぶるから上半身も不自然にうねってしまう。 4、5回キャストした営業マンは、この竿がどうだとかこの川のポイントはどこだとかウンチク垂れて去って行った。

このころになると、キャスティングの上手い人と下手な人の区別がある程度付くようになってきた。 釣り場では、上手い人のキャスティングを盗み見るよう心掛けるようにしていった。

もうダブルフォールが一般的なテクニックになっていたので、釣り場でダブルフォールをしているフライマンが多くなってきたが、まともにできている人はあまり見かけなかった。 一番多いのが、殆ど左手が動いていない人。両手の間隔が50センチぐらいで固定されて前後に抱えるように振っている。

ダブルフォールがきちんとできるようになると、新たに困るのが、ディープ・ウェーディングができなくなることだ。

そのためロングディスタンスが重要な湖のFFは、ここからダブルハンドに転向するフライマンが出てくる。 何でかと言うと、左手で水かきをしなくていいからである。 ダブルフォールをちゃんとマスターして、それでも自分の釣り場では飛距離が足りないと感じるフライマンが、ダブルハンドに進むべきだと思う。 シングルハンドよりダブルハンドの方が飛ばないでは論外だが、どっこいどっこいの飛距離であれば迷わずシングルハンド選ぶべきだと思う。

シングルハンドの方が絶対に釣り味が良いからだ。 いつもでかいストリーマーに50オーバーのピンシャンばっかり釣っているフライマンならいいが、25センチの放流マスなんか釣った日にはカツオ一本釣りみたいに、マスが後に飛んで行ってしまう。

そもそもアメリカのスティールヘッドのFFですらシングルハンドであることから、日本では対象魚の都合ではなくてキャスターの都合でダブルハンドを選ぶのが、現実なのではないかと思う。

解禁当初は寒いからディープ・ウェーディングしたいとか、五十肩で腕が上手く上がらないからとか、隣の若いやつと同じくらいの飛距離を楽に投げたいとか、老眼で小さいフライが結べなくなったからとか、釣り場で長い竿を振り上げて目立ちたいとか、高い道具を見せびらかしたいとかてのが本当の理由だろう。 こうやって考えるとダブルハンドてオヤジ竿なんだね。 ダブルハンドの話はまた後でするとしよう。

支笏湖で一番悔しかった思い出は、どっぷり日が暮れた支笏湖の小さなワンドで、一人でウェットフライをキャストしていたが、もう今日はダメかなと思って諦めかけていた時に、10メートルちょっとの先の水中にドスンとすごいヒットがあって水面が炸裂した。

#8ロッドが満月のように引き込まれた。 すごい引きだった。 瞬間、これはアメマスじゃない、ニジだ!それも自己最高記録だ!!の手応えを確信した。

ヒットした距離が至近距離だったので、いなすのに苦労しながら何とか寄せてきたが、まだ相手が十分弱っていないことに一抹の不安を感じていた。

すると後の方から誰かが走りよって来て、義によって助太刀いたす!とバシャバシャと近づいて来た。 道産子フライマンだった。

トップガイドにリーダーが入ると、道産子フライマンは突然むんずとリーダーを鷲掴みして、カッタ繰りの如く力づくで引き寄せ始めた。 プツンと切れた。

想定外の事態に、少なくとも釣師郎の釣りの常識ではこのような暴挙は想像すらしたことなかった。 唖然とする釣師郎に道産子フライマンは、「えぇ?何だ0Xじゃないんだ、ここは0X以上だべさ、あれは60以上は間違いなくあったべさ、」と言ってさぁーと夕闇に消えて行った。 腰のベルトに差していた柄は、折りたたみ式のネットではなくて折りたたみ式のギャフだったのかもしれない。

釣師郎は食べる魚以外は全てリリースしていた。 ただ子供だったのか、釣った魚は一旦キープしてから帰る時にまとめてリリースした。

小石の浜で5、6匹のアメマスを釣ったので、水際から2メートルぐらいの所に穴を掘って湖水を流し込み、池の周りを石で高く囲み逃げて行かないようにした。 それから移動してあっちこっちで釣ってから戻って来てみると、その池には1匹のアメマスもいなかった。

最初はキタキツネにでも食べられたか?と思ったが、ウロコ一枚の残骸も落ちてはいなかった。 どうやら違うみたいだ。 では誰?

乾いた小石の浜をよくよく見てみると、池から湖までわずかに濡れた細い道ができていた。 アメマスたちは歩いて帰って行ったようである。

水が干上がることもある源流帯に住む岩魚。 「岩魚は木に登る」と本で読んだことを思い出した。

見たかったな、5、6匹のアメマスたちがおっちらおっちらと這って、支笏湖に帰って行く光景を。

支笏湖ではこんなこともあった。 初夏だったと思うがいつものとおりテトラ帯をウェーディングしながら進んでいると、むにゅと変なものを踏み付けてギョッとした。 水死体か!? 恐る恐る足元を見てみると、ウドン玉のように固まったウグイの群れだった。 交尾のために接岸しているウグイのボールだった。 ウグイを踏み付けたことがあるフライマンてそうそういないだろう。

支笏湖に流れ込むニナル川の河口で夕暮れの中一人でフライを振っていると、こつんと小さなアタリがあってあわせてみると20センチぐらいの魚が釣れた。 何だ小物かと思って暗がりの中手に取って見てみると、いつものアメマスと何か違う。 よく見てみると体に朱色の点がいくつか散らばっているのである。

これってもしかしてオショロコマ?

図鑑で見た写真とそっくりだった。 貴重な魚かもしれないとしてリリースしたが、この話を誰に話しても支笏湖にはオショロコマはいないと言われている。 百歩譲って支笏湖にはいないとしても、ニナル川の上流にはいるかもしれないし、それがたまたま流れ落ちて来て河口で釣られたのじゃないかと勝手に思っている。 真相はどうなのだろうか、釣師郎は絶対にあれはオショロコマだと思っている。

支笏湖の北側に北海道三大秘湖の一つであるオコタンペ湖がある。

道路の展望台から遠くに見下ろすオコタンペ湖は、神秘の湖と言った感じがする。 湖の向こう側はまったくの手付かずの美しい緑の湿地帯みたいで、人が入ってはいけない雰囲気が漂う。

展望台の下から崖を下っていく獣道が湖畔に降りられる抜け道らしいが、釣師郎は行ったことはない。 たまにゴムボートを浮かべて釣っている人を見かける。 何が釣れるかはよく知らないが、聞いた話だとニジマスが釣れるそうだ。

このニジマスの由来が面白い。 戦後米軍がヘリコプターからニジマスを空中放流したそうだ。 これが本当だとすると、ここで釣れるニジマスは空からやって来た虹鱒の子孫となるはずだ。

支笏湖の帰り道夕方展望台から一人でオコタンペ湖を見下ろしてみたら、晴れなのに湖面が激しい雨でも降っているように、到る所で波紋が沸き立っていた。 本で読んだことがあるスーパーハッチだ。 この目でスーパーハッチを見たのは、後にも先にもこれだけだ。

このときゴムボートを浮かべてルアーをキャスティングしていたルアーマンが偶然居たが、不思議なもんでこの活性沸騰状態でカスリもしていなかった。 ルアーだから釣れないんだろう。 あそこにフライ浮かべたら人生最大の爆釣だったんだろうな。 展望台から指を咥えて見ていた。

余談だが蚊柱も見たことが一度だけある。 バス竿を担いで夕方茨城県牛久沼横の田んぼの畦(あぜ)を歩いていたら、向こうから人がやって来るのが見えたので、うわぁ、まずいな、避けられないよと思っていたが、その人はすたすたやって来たのだが、よく見てみると人ではなかった。

蚊柱だった。 蚊のような小さな羽虫が竜巻のように舞っている。 田んぼに飛び込む以外に避けようがなかったので、目をつぶって鼻を結んで口を手で覆って、蚊柱に飛び込んで行った。 そうしても数匹飛び込んできた。 羽虫は美味しくなかった。

自宅から支笏湖に向かう途中に釣堀があったが、最近フライやルアーも受け入れるようになったと聞いて、#5セージを担いで行ってみた。

いつもの支笏湖スタイルで試したところぽつぽつ釣れるのだが、横でマーカー浮かべているフライの兄ちゃんたちには敵わなかった。 そこで二回目に行く時には、管釣りマーカーウキ釣り仕掛けで行った。

この頃になると、加賀プロと言われるフライマンたちが現れるぐらいに、このマーカー釣りが完成されていて、管釣りではこれが定番となっていた。 ラインシステムも究極に特化していた。 フライラインの先に30センチぐらいの太目の道糸を付けて、そこから1号にも満たない細いハリスをイケスの深さに合わせて結ぶ。 肝はマーカーをハリス側に付けることだ。

半日で30匹以上釣った釣師郎は辞めた。 ストレス発散には最適かもしれないし、取り込みの練習にはなるとは思ったが、致命的なのはこれをフライ・タックルでやる必然性がまったく感じられなかった。 これは長い延べ竿に玉ウキ付けてファンシーなフライを結んでも同じじゃねぇかと。

しばらく自宅から近いので暇つぶしで通ったが、最後の方は沈めて引いてフライラインを手のひらの中に輪にして収めていく練習をしていた。

たまに雑誌から抜け出してきたような格好のフライマンに会って話をすると、「支笏湖は釣れないからいつもここに来てしまう」とか言っていたが、ここでマーカー釣りやっている内は箱の外(自然のフィールド)では釣れないだろうなと思った。

「釣堀から出られないフライマン」と言うそうだ。 なんでそう言う時は、支笏湖はちゃんとやれば釣れますよとお節介オヤジをやっていた。
東京の本社から、いい加減東京に戻って来いと言われた。 アメマスや天然ニジマスのいない東京なんて嫌だと断ったが、もう先は長くは無いなと内心思った。

この頃になると空前の釣りブーム到来で、支笏湖にもフライマンやルアーマンを多く見るようになってきた。 正直釣師郎の釣果は落ちてきた。

北海道最後の年にポロピナイ奥のワンドで若いフライマンに会った。 どうですか?と聞くと、「ブラウンは釣れていません。」と言われた。 えっ?いつから支笏湖でブラウンが釣れるようになったんだ?と驚いたのを覚えている。 彼に言わせると今年辺りからぽつぽつ釣れるようになったと言う。

北海道で残された時間に他に何をやろうかと思って、瀬棚の海アメマスと渓流のドライと阿寒湖の氷上ワカサギの的を絞った。

留萌の近くに前々から目に付けていた良さそうな渓相の渓流があったので、パックロッドを持って向かった。 2度行ったがなぜか2度とも大雨の後ばかりで、ジェットコースターみたいなガンガンの急流で釣りにならず玉砕。

#9ラインを仕込んで瀬棚へ向かうが途中の激しい地吹雪で断念、撤退。 せっかくお手製のラインバスケットまで用意したのにだ。 たしか瀬棚もそうだったと思うが、一時支笏湖でもラインバスケットをぶら下げて駅弁売りみたいな格好が流行った時があった。

雑誌でラインバスケット取り上げていたからな。 フライと名が付くと何でも高いのがこの業界の理不尽なところ。 鳥の羽以外は手芸屋で買うと多分500円で一生分買えんじゃないかな。 これを釣具屋で買うと、東京の超高級蕎麦屋のセイロ一枚分にも満たない量が、小袋にちょろっと入って千円すんじゃないの。

一番安いラインバスケットでも5千円はした。 こんなもんにカネが使えるかと思った釣師郎は、近所の雑貨屋でちょうど良い大きさのプラスティックのカゴと、ゴルフのピンを買って来て300円ぐらいで自作した。

足元にビニールシートを敷く派もいたが、機動力が劣るしウェーディングも出来ない上ピクニックでもない訳だから、これはやらなかった。

ラインバスケットを使う理由は、ロングディスタンスが要求される湖の釣りでは、シュート時のラインの抵抗を減らすために有効であると宣伝されていた。 シンキングラインだと足元にラインが沈んでいるために、さらにシュート時の抵抗やその準備に一旦水からラインを引き上げるわずらわしさが解消される。 フローティングラインだと風や波で流されたライントラブルを未然に防ぐとか言われていたが、売らんがための理屈だな。

左手のライン捌きを習得すれば、ほとんど全て解消されてしまう話ではないかと思う。 それがどんなに高くても道具は誰でもカネを出せば買えるが、道具を使いこなすのはカネではなくて、その人のキャリアや修練の賜物でありそれはカネでは買えないものだ。

FFはこだわりの釣りらしいから、そう言うところにこだわりたいものだと思う。 軽やかなピックアップ、少ないフォルスキャスト、美しいループ、静かな着水、流れるようなリトリーブ、無駄のない左手のライン捌き、格好良過ぎるぞ!! そんなフライマンがまして高価なブランド・タックルを振っていたら、釣り場では尊敬の眼差しだしフライ貴族だろう。 将来はそうなりたいもんだ。

ビニールシートは砂浜とか管釣りの護岸みたいな真っ平らな上しか使えない。 足元がガタガタな溶岩帯の上では直ぐにラインが滑り落ちたりして悲惨なことになる。 こう言うエリアでFFやる人は、左手の手の平にくるくるラインを小さな輪にして収める技は必須である。

ラインバスケットでもいいが、溶岩帯の向こうからそう言うフライマンがやって来るのを見ると、失礼ながらどうしても駅弁売りの人がやって来たと思ってしまうのは私だけ?

最後に残された阿寒湖は札幌から日帰りは不可能なので、宿の予約をした。 したらその半月前にとうとう問答無用で転勤の辞令が発令されてしまった。 阿寒湖には行けなかった。

東京に戻ったら2週間もしない内に会社が倒産した。

でもディープな釣友と知り合った。 会社が上や下への大騒ぎの時期も、彼と本栖湖や芦ノ湖に通った。 会社の代わりは探せば有るだろうが、本栖湖や芦ノ湖の代りは無いんだと当時は思っていたからだ。

最後に出たボーナスもこれが最後だろうと思ったので、全額釣り関係に使ってしまった。 女房は怒りを通り越して唖然としていた。 ま、長い人生いろいろあるべさ。

北海道帰りの釣師郎でも1月の本栖湖は強烈だった。 釣っている端からガイドは凍るし、肘に付いた水滴がどんどん凍ってキャストしづらかった。

本栖湖は本当に釣れなかった。 しかしこんな時期でもモンスター狙いのツワモノは僅かでもいた。 3年通ってアタリ無しのダブルハンドのフライマンもいた。 ここでは、釣れましたか?と聞くのは失礼で、ライズ見ましたか?と聞くのが礼儀だそうだ。 ここ関東随一の釣道修行場と知った。

芦ノ湖の特別解禁にも通ったが、釣りブームも重なってあまりの人の多さに辟易した。 10メートル間隔で並んだ釣り人、一人よりも少しでも前へとジャブジャブ入っていく人、前に後にバシャッバシャッのSMキャストの人、岸に上がれば場所取り合戦。 釣れるのは場荒れするまでの15分間が勝負の釣りだった。 東山に行ってマーカー浮かべている方がずっと賢いと思った。

解禁後2週間を外してから、ボートでフライを振る釣りにと自然に移行していった。 3月は岸のブラウン狙いに的を絞った。 この頃のブラウン狙いはグリグリ・メソッドに代表されるように、岸際目掛けて大き目のフローティング・ミノーを使ったミノーイングが定番だった。

ブラウンは待ち伏せ型の居付きの魚でフィッシュイーターと信じられていた。 後の話だがレイクトローリングに凝りだしてからは、沖のど真ん中でもブラウンが結構釣れることから、回遊するタイプと岸際に居付くタイプの2種類がいることを知る。

次にフィッシュイーターだからミノーそれも魚食性が高いから大きめのミノーで釣れると言われていたが、敢えてFFでチャレンジしてみた。 最初はストリーマーや#6ぐらいのウェットフライなんかで試してみたが、ぜんぜんダメだった。 そのためある時真逆をやってみようと思って、#16から#18の小さなもじゃもじゃニンフを使ってみたら、これが大当たりした。

40センチ前後のブラウンが岸すれすれでぽろぽろ釣れるようになった。 ただし極めて静かに釣らないとパタッと釣れなくなってしまうため、釣友のフットコンのエレキが大活躍した。 後年釣友が寄る年波に勝てずバカ重いバッテリーが必要なフットコンを処分してしまったおかげで、釣師郎たちの岸際ブラウン釣りは釣果がガタッと落ちてしまった。 エンジン船で静寂に操船するテクニックが無いため仕方なかったのさ。

ブラウンは決して魚食オンリーの魚ではないことを知る。 ただ小さいフライには小さいブラウンしか釣れないのかの疑問も感じていた。

成蹊の沖をボートで流していた時に、ボートから岸に向かって20メートルぐらいの所で、大きなブラウンが何度もジャンプしているのを見た。 釣師郎は直ぐさま#18のいつものニンフをダメ元でシュートした。 十分沈めてからさっとリトリーブしたら、一発でドスンときた。

強烈な引きの中信じられないアクシデントが発生した。 そのときループのちょっと変わった高いフライリールを使っていたのだが、釣師郎はいつもリールを左巻きで使っていた。

当時の教科書によると、小さな魚はラインを手繰って直接やり取りし、大きな魚はリールを巻きながらドラグを使ってやり取りするとされていた。 教科書とおりリールを巻きながらやり取りしていたら、ブラウンが手元に突っ込んで来たのでラインスラッグが出ないように、釈迦力でリールを巻いた。

すると足元にボテボテボテと何か重い物が零れ落ちるような音がして、えっ?と思ったら左手の上にスプールが乗っかっていた。

何じゃ、こりゃぁ!?

一瞬何が起きたか分からなかったが、意外にこう言う時は冷静な性格のようで、左手のスプールを足元に捨ててとにかくファイトを続行した。 ファイトをしながら頭の中で今何が起こったのかを分析したら、こう言うことだった。

このリールは本体の受けネジとスプール自体に切られたネジが右ネジだったため、高速で左回りに巻き上げたら、ウソみたいなホントの話、ネジが外れて分解してしまったのだ。

ボトボトボトと落ちた物の正体は、中に入っていたグリス付きのボールベアリングだったのだ。

右手の指ドラグと左手のライン捌きでその50オーバーのぶりぶりでヒレピンのブラウンをキャッチした。

落ちたべリングボールを拾いながら思ったが、ドラグ機能がなくても何とかなんじゃん。 その数年後相模湾沖でカツオを#9ロットで釣ったことがあるが、竿はベロンベロンに根元からのされっぱなしだったが、これも右手の指ドラグと左手のライン捌きで何とか釣り上げることができた。

ドラグ機能付きの高級リールなんて、海外遠征での大物狙いか、ソルトの本格的な青物狙い以外、日本国内では別に有っても無くてもいいんでないかいと思うようになった。 もちろんドラグ機能が付いていた方が高く売れるから、業界はドラグ付きリールを勧めるだろうがね。

昔の師匠もフライリールはクリック音に拘っているとは言っていたが、性能のことは一言も言っていなかったし。 ただし猿仏川のイトウはやったことないし、支笏湖の巨大魚も中禅寺湖のメーターレイクも釣ったことないので、そのクラスはどうだかは分からない。

このあたりから岸からのフライとボートからのフライとレイクトローリングを並行してやるリレー釣師(?) となる。

レイクトローリングは学生の頃からちまちまやっていたが、本格的に修行を積み出したのは98年ごろからだ。 レイクトローリングをやっていて気が付いたのだが、沖のど真ん中の表層でも放流ニジマスが結構釣れるのである。

普通のフライマンが狙っている普通の放流マスはワンド内や岸寄りにいると説かれており、沖には居ないとフライマンには信じられていた。 したがってシーズン中はワンド内でヘラ師のようにボートを岸に並べて仲良く振っているフライマンがたくさんいたが、そんな密集して浅場でみんなでピシャピシャやっていれば、場荒れも早くて釣れないだろうと思いながら沖を流していた。

ボートでフライ釣りの場合は、移動中は必ずハーリングをして居場所を探った。 ヒットしたら直ぐキャスティングに切り替えて、ヒットエリアで集中的に攻めるようにした。 この釣り方ではほとんど放流ニジマスだったが、放流魚であろうと沖にも居ると言うことを、知識で知っているのではなくて体験で知るようになったのは、レイクトローリングをやったお陰だと思う。

5月のゴールデンウィークが過ぎると岸が空きだすので、岸からのフライに切り替わることが多かった。 この頃になると湖のFFも独立したジャンルのFFとなり、様々なメソッドやラインシステムが開発されていった。

今にしてみれば常識かもしれないが、例えば、ユニホームシンクとノーマル・シンキングラインをボート釣りと岸釣りで使い分けることとか、シンキングラインに付けるブレイデット・リーダー・コネクターは蛍光色にするとか、ウェイテッド・フライにはテーパーリーダーを使わずノン・テーパーラインにするとか、WFフライラインを途中でカットしてランニングラインに接続改造するとか、そう言えば#13シューティングヘッドを5メートルぐらいでカットしたバックスペース無し釣り場専用ラインシステムも作ったな。

またダブルハンドが欲しくなる難病に罹った。

今度は後悔しないように慎重に選ぶようにした。 まずカタログに書いてある麻薬のような謳い文句は無視して、スペックの確認のみとした。 もちろん予算を決めた。 高価なロッドを買ってしばらく釣りに行けないのでは本末転倒である。

そして数少ないダブルハンド愛用者の個人ホームページを片っ端から検索して、その使い心地をどう書いてあるかを調べた。 実際に使っているお客さんの生の意見だ。

するとダイワのダブルハンドに絞り込まれていった。 スペイ用ロッドとかスペイ兼用ロッドなんてのもあったが、流行りだしたスペイなんて使いこなせる訳ないしロングディスタンスに特化した竿が良いと思った。

それで有名な秋本氏が監修したダブルハンドにした。 東京は本当に練習できるところがないので、いきなり本栖湖とか芦ノ湖でぶっつけ本番で練習した。

初めてキャストしたら、自分でも驚くぐらい軽く遠くにぶっ飛んでいった。 釣師郎てこんなにキャスティング上手かったっけ!?と驚いた。 それぐらい出来の良い竿であるし、あるいは前に買った竿がいかにダメだったかである。

竿の負荷の感触を調整するために、何回かシューティングヘッドの長さを調整した。 左手のランニングラインのライン捌きは結構難しい。 またラインのパワーがあるので、気を緩めているとランニングラインがすっぽ抜けてしまうことがある。

ダブルハンドのキャスティングのキモの一つは、いかに数少ないフォルスキャストでシュートできるかではないかと思う。 ピックアップして後に1回、前に半分するすると伸ばして1回、後にシュートに必要な長さをするする出して1回、計3回でシュート。 1回でシュートできたら理想だろう。

何度も何度もフォルスキャストしていると、ライントラブルの危険性が増してくるから、手早くシュートしているほどトラブルも少ないし、結果釣りをしている時間も長くなる筈だ。

沖を流しているとたまに何回振っているの?ありゃ自爆と言うフライマンを見るときがある。 もしかしたら振れば振るほど飛ぶとか格好いいとか思っているのかもしれない。 釣師郎も昔そうだった。 ダブルハンドも特にシングルハンドでもそれは、たぶん渓流のFFのビデオを見た影響だと思う。

ビデオに出てくる渓流フライマンが#3、4の軽いフライラインを何度もフォルスキャストしているのは、解説では空中でドライフライを乾かして浮力を増すためとか言っているが、そんなことではなくて、フライラインを岩場の地面に落とすとライン表面に傷が入ってしまうとか、岩や石に引っかかってライントラブルになるとか、あるいは水にラインを落とすと一気に下流へ流されてしまうので、ポイントを狙うタイミングを計るにしても、ポイントへ移動するのにも空中にラインをホールドしている方が、総合的に都合が良いからだと思う。

したがってウェーディングしている、あるいはボートからの湖のFFでは、フライラインが岩や石に傷つけられたり引っかかったりはしないし、河口でも立ちこんでいない限りラインが下流に流れて行ってしまう心配はない。 さらに渓流FFと違って#8から#10の重い番手はよりキャスティングテクニックが必要だから、フォルスキャストをすればするほど、ライントラブルになりやすいリスクがある。 つまり突風が吹くこともある湖のFFにおいては、フォルスキャストが多いことは実用性から見てマイナス面が大きいことに気付いた訳だ。

で、できるだけゆっくり正確にナローで少ない回数で、シューティングヘッドラインをキャストするように心掛けた。 左から吹いてくる強い風はキャスティング上対応しやすいが、右から吹いてくる強い風は練習しないと対応が難しい。

シングルハンドでもそうであるが、#9、#10の重い番手で自分の後頭部を釣るとすごく痛いが、いやとても危険である。 ときどき無帽やバンダナでFFやっている愚か者を見ることがあるが、一度後頭部や耳にストリーマーでもぶっ刺さると、よくその危険性が分かるだろう。

サンデー・フライマンの釣師郎ですら、隣の他人に自分の帽子を釣られたことはあるし、自分の帽子を前方に飛ばしたことも多々あるし、ストリーマーをイヤリングしたこともある。

たしかフックが#4くらいだったので、耳たぶの向こう側に刺し抜く勇気もニッパーも持っていなかったし、この絶好の夕マズメに上がって病院行っている暇はないと思って、一二の三で引き抜いたら返しが肉まで入っていたので、傷口が広がって血がボトボト滴り落ちて血だらけになったのを覚えている。

耳たぶだったら武勇伝・武勇伝ですむが、目玉だったら洒落にならないので、絶対にメガネは必要である。 帽子は、キャップは耳が出ているのでダメ。 厚手のハットが基本。 釣り場で目立ちたいのであれば、テンガロンハット。 西山先生はテンガロンハットが多かったと思う。

何て言うかは知らないがボンボンの付いた帽子は、入信でもしていない限り、かぶれているとか身の程知らずとか言われそうなので、達人級以外はお勧めできない。 少なくとも天地がひっくり返っても自分を釣ることだけは、絶対にありえない境地に達するまでは止めた方が無難だろう。

ダブルハンドで何回か釣りに行ったが、あるとき魚が後に飛んで行ったので、自分が望んでいるFFとは違う気がしてまた封印してしまった。 また洒落でボートからダブルハンドを使ってみたが、バカだと思った。 結局シングルハンドに戻ってきてしまった。

トルネードと言う湖用に設計された竿を無理して手に入れた。 作りもロッドの色も気に入ったが、そのキャスティングの気持ち良さと魚を寄せるパワーは、釣師郎の知る限り最高クラスだと思う。 50オーバーのブラウンを釣ったときもまだまだパワーに余裕ありの感触だった。

こう言うタイプのフライロッドを使ってますます感じたのだが、水中でのアタリに対して竿だけで合わせるとろくなことが無い。 左手で合わせるのだが、それもむんずとラインをつかんでガツンと合わせるとこれまたろくなことが無い。 濡れた左手の指の上で少しラインを滑らせながら合わせると、アタリ切れ無しで上手くフッキングする。

自動車のクラッチ板みたいな考え方だ。 自動車はクラッチ板が適度に滑るから滑らかに発進できるわけだ。 あっ、でも今はオートマが主流だし、単車もビックスクーターが人気だから、若い衆にクラッチ板なんて説明しても感触が分からないかもしれね。 ルアー用のリールもドラグが付いているから、最初の調整をしっかりしておけば、KE~N、ヒィィィット!と大アワセしても多分大丈夫なんだろう。

有名なアオミドロと言うフライはしょっちゅう使っている訳ではなかったが、途切れることなくすぅーとリトリーブしないと本来の威力が発揮できないことから、野崎ツイストをよく練習した。 途切れないリトリーブも凄いテクニックだが、フライラインがきれいに輪になって左手親指に収まることは、いろんな状況で役に立った。

このロッドを手に入れたばかりに完全に湖以外に行くことなく、20年かかって湖にどっぷりはまってしまった。 だからタイイングするフライも湖専用の大型フライが中心なので、小さなフライを巻くとかウイングをぴんと立てたドライフライとか本物の虫よりも美しい工芸品のようなフライなんかはまったくの苦手だ。

しかもフラッターレッグみたいなシンセティック素材を多用したファジーなフライが中心なんでタイイングはぜんぜん自信が無い。

たまたま取引先の人がフライマンてこと聞いて自分でタイイングしたドライフライとかの写真を見せてもらったことがあるが、もう釣師郎なんて足元にも及ばなかったね。 FFの話をすると釣りの話よりタイイングの話の方が好きみたいだった。

札幌市内に古い釣り具店だったけれど、意外にフライ用品が揃っている店が在った。 会社帰り時々寄って年配の店主のFFの思いで話を何回か聞かせてもらったのだが、その一匹を釣るまでが大冒険で、若い頃熊笹掻き分け岩を登り対岸に泳いで渡りと源流遡行が始まるのだが、その最後にとうとう釣った話になるまでがすっごく長くて、やっとその秘密のポイントで釣ったのが尺ものだったとかで、いつもでどうだった?どうだった?と先を聞いていたもんだ。 ただ凄いなと思ったのだが、絶対にどこの渓流だったとは言っていなかったことだ。

竿持ちは釣師が多く、リール持ちはコレクターが多いと聞いたことがある。 フライマンには、釣り自体が好きな人とタイイングが好きな人とキャスティングが好きな人が居るみたいだ。

昔の釣友の知り合いの話であるが、何でも競技に出るほどのキャスティングのテクニックを持ったフライキャスターらしいが、誰に聞いても釣りに行った話を聞いたことが無いそうだ。 釣りに行っている?と聞くとむっとしそうなので、振っている?とか練習している?とか聞くそうだ。

目の前で釣れていたものが突然釣れなくなったり、ぜんぜん釣れない日は一体魚はどこに行っているのだろうか?目の前でハッチが始まりだしたが、それはここだけなのか?大きい魚とそうでない魚の釣り方はやっぱり違うのか?湖全体で何が起きているのだろうか?とかいろいろ考え出すようになって、レイクトローリングにますます傾倒するようになってしまった。

この先レイクトローリングで釣り人生が終わるのか、はたまたマクロからミクロではないがFFに戻って行くのか、あるいは家の前の境川のハゼ釣りが終着駅なのか自分でも分からないが、今はフライフィッシングは休業中である。

でもフライフィッシングは今でも最高に面白い釣りの一つだと思っている。

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choshiro

Author:choshiro
釣師朗 (ちょうしろう)
マス類の70オーバー(管釣は除く)はないけれど、60オーバーは数本揚げている程度の自称”大物レイトロ師” 写真の獲物は琵琶湖のビワマス。しかしその実態は小物得意のヒメトロ師だ。
家計の足しに東京湾にも出漁するが、アジ・サバ・キスと典型的な東京湾サンデー小物師。銀山・中禅寺は苦手。芦ノ湖、琵琶湖は好き。ルアーの宗派は天然貝教清貧派の模範的な信者。ビックミノーやバブリーな釣り道具は使わない、いや買えない。
千葉県にあっても”東京”ディズニーランドのある浦安市在住。年齢は平均寿命の半分をとっくに過ぎたねて感じ。大病もしたし後何回釣り出来るかなて思う今日この頃てか。

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